夜思比売の栞 カフェー小品集 嶽本野ばら

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2008'06.10 (Tue)

カフェー小品集 嶽本野ばら

今日は本を読まなかったので、お気に入りの本の紹介、ということで

「カフェー小品集」 嶽本野ばらの小説の中で一番に好きです。
タイトル通り、京都に多分実際にあるだろうカフェ(ないかもしれないけど)を舞台にした短編集。
一人称は僕、の、時に作家である僕、の、まるで私小説であるかのような、こんなの読んじゃっていいの?というくらいに作者を想起させる、そんな話ばかり。

本を読んでて、読者である「自分」というものを強く感じる小説と、まったく逆で「自分」を完全に消してしまう小説がある。
読んでて、あー私だったらこうするのにーとか、あーそういう風に感じるんだーとか、色々考えてしまうゆとりのある小説が前者。
ストーリーにのめりこんでしまって、ただただ人物の行動や言葉をじっと追い求めてしまうのが後者。

野ばらさまは、後者かなぁ。
ストーリーに夢中になる、というのとは違うけど。
すごい壊れやすいものを持ってるみたいに息を潜めて、読まなければいけないような気がしてくるのもまた事実。

カフェーそれぞれの歴史、雰囲気、かかっている音楽、クラッシック。
いつも、レクイエムの中ではモーツァルトとかベルディみたいな仰々しいのよりもフォーレの静かなレクイエムを好むような「僕」と、
図々しいことを、醜く生きることを何よりも厭う「彼女」と。
似たような二人が、いつも出てきて。
この世にたった二人きりの人間であるかのように、生を嘆き、生を喜ぶ。
それだけのことなのに、すごく心に残る。

例えば、何にもできない浅はかな知恵しかもたない男と出会って、自分みたいな人間に相応しいと頑なに思いこんでその男と一緒になろうとする「彼女」とか。
ロリータファッションが好きで、そのために憧れのカフェのアルバイトの採用試験を落ち続けている「彼女」とか。

不可解で、視野が狭くて、自虐的で、破滅願望があって。
男女の恋愛というよりも、この世に二人しかいなかったらそりゃ情も芽生えるよね、みたいな、切実なつながりとか。そういうのがすごい儚くて大事な感じがしてきて、読者たる私には何の関係もないんだけれど、読むと泣いてしまうのです。。。

さーて、明日から爆書です。

カフェー小品集カフェー小品集
(2001/07)
嶽本 野ばら

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タグ : 嶽本野ばら

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