突然の交通事故で死んでしまったサヨは、あの世へ向かう途中の船から逃げ出してしまう。
密かに想いを寄せていた天霧の部屋に地縛霊のように居つくことになったサヨだったが、そこはサヨが死ぬ四日前の世界だった。
天霧のそばにいることで少しずつ心残りが消えていくサヨ。
けれど、せめて生きているサヨに想いを告げさせたいと、幽霊のサヨはいろいろ挑戦してみる。
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帰ってきた幽霊もの、というジャンルがあるのかどうか知らないが、そういうテンプレに乗った話ではあると思う。
面白いのはあの世に向かう船が西洋の海賊っぽい船で、死神船長というオカマが水先案内人だということか。
このことは、主人高のサヨと思い人の天霧、友達?の七原などが出会ったオンラインゲームの電子海の世界ともリンクしているし、サヨが子供の頃に父親と遊びにきて溺れてしまった海の記憶とも結びついている。
幽霊として返ってきたという設定の割には、あまり切羽詰まった感じがなく、静かに寄せる波の音を聞くような、人と人の繋がりや時間の流れという大きなものを感じさせる話でもあったと思う。
幽霊となって戻ってきているのは過去、というところがちょっと面白い。魂?霊魂?だけでいる訳じゃなくて、一応過去の自分がいる。
見えなかった出来事が見えたり、知らなかったことを知ったり。悔しがったり歯痒かったり悲しかったり切なかったりするだろう、それは。
ひたすら悲しみ、悔やみ、納得していこうとするサヨの航海日誌は後悔日誌でもある。
残されたものの気持ちを考えない行動をとってしまってまたサヨは落ち込んでしまうのだが、コミュニケーションの可能性がいかに無限にあったか。それを気づかせる奇跡は、登場人物にではなく読者の方向を向いていたのだろうと思う。