お気に入りの人形のために引き出しの中に小さな部屋を作っていた七重は、新しいお母さんにその人形を捨てられたことに傷つき、祖父母のもとで暮らすことになる。
古い祖父母の家には花明かりという小さな人たちがいるという言い伝えがあり、秘密の扉や通路を探しながら、七重は花明かりを探し始めるが……。
*
小さいもの、特別な人形に愛着を持ったことのある人にはたまらない、幸福な感じを思い出す良い話でした。
手先が器用で、なんでも工夫して作る七重は病弱で、家系的に短命の血筋でもあり、家中を探険し、花明かりの手がかりを見つけて、運よく花明かりと出会うまでが、もう、一つの物語のようでした。
大人目線で読むと、こりゃ新しいお母さんはたまったもんじゃないなとも思いましたが。
けれど、ささやかで秘密めいた七重と花明かりの独楽子の交流は、七重の入院であっけなく終わってしまいます。
物語は七重の従姉妹の娘である、不器用で元気が取り柄の薫に引き継がれます。
そして七重と独楽子のかなわなかった願い、花明かりのサイズでお花見をすることのために、枯れかけた盆栽を蘇らせようとする。
時代も違えば、性格も違う。
そんな二人の少女と花明かりのそれぞれの出会いが、やっぱり読みどころではないでしょうか。
ノートンの床下の小人たちほど人間との間に緊張感はなく、気を揉むような不安なことは何も起こりません。
本当に、それに相応しい環境を丁寧に整えたら、何時の間にか中身が生まれていたらいいなと思いました。