「この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです」というファンレターが、まだ駆け出しの専業作家として立てない物実のところに送られてくる。
その美少女・紫に請われるまま、小説の書き方を教えることになった物実。
しかし紫は、五万冊の本を読んだことがあり知識も豊富なのにもかかわらず、ほとんど文章を書いたことがないという、とにかく変わった子だった。
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小説で小説のことを小説にする。
どこかメタっぽい感じのする話かな〜と思っていたけれど、作中でこの母小説自体に言及したり影響与えたりはなかった……と思います。
最初から、この小説はどういうラストにするんだろう、どこへ着地するんだろう、とそれだけを楽しみに読みました。
それだけ「この世で一番面白い小説」というフレーズは、鼻で笑ったり馬鹿馬鹿しいと思ったりしつつも、気になるものですからね。
小説の書き方講座や、紫の普通とはちょっとズレたお嬢様風のリアクション、外へ出て実際体験してみた時の感動などはとても爽やか。
地の文章での遊びも、さらっとしていて執拗じゃないところが好きです。読みやすい。
あんまり感情の高まりを書いたりしない作家なのか、物実が紫から受けた影響だとかも熱っぽく書いたりはしてません。
クールだけど、シニカルではない。
この作者らしいラストとも言えますが、アクがないからこそ許容できるのかな、という気もします。
後半は、えーホントにそれでいいのかよーみたいな気持ちに多少なったので。
そういう設定だからいいんだーというルールが通るのがライトノベルなのだとしたら、その自由さを楽しむべきで、足場がぐらぐらしてるようなのには目をつぶるべきなのかもしれない……って、私はメディアワークス文庫はラノベだと思ってないんだけど……。
まぁおもしろかったから、いっか。あとがきのラスト一文も素敵。
ちょっと綾辻行人の短編を思い出した(タイトルは忘れた)