バイク(自転車)のロードレースが舞台の、半分青春小説、半分ミステリ。
ロードレースに馴染みがまったくないので、そういうスポーツがあることは知っていても、ルールも勝敗のつけ方も、わからなかった。テレビですら観たこと無いからどんな格好でするかも知らない。
でも、スポーツ独特のルールとか専門用語とかひとりよがりな感覚を語られてもねぇ、とスポーツ小説を読むと時々思うので。そういう意味では、とっつきやすかった。
陸上ではわりと良い成績を収めていた主人公は、勝つこと、勝敗に執着することに微かな嫌悪感を抱いている。抱いていた(女がらみ)。勝つことに空しさを感じるなんて、勝てない人にとったらむかつくこと限りなしだろうけど……。自分はエースを勝たせるために尽くすアシストをやることに、満足して喜びも感じている。
しかしそのチームの中での順位に微妙な変化が起き、なおかつチームのエースにチームメイトを故意に怪我させた疑いまででてきて……。レース途中の清々しさとは一変して、体育会系らしい陰湿さもちらほら。
そんな疑惑の中で、終盤一つの事件が起こる。
ミステリって、積み上げて構築していくミステリと、ひらめいて構築されたものを壊すミステリとがあると思う。このサクリファイスは後者の閃くミステリ。
閃きのミステリは、暗闇に光が差し込むように、一瞬で謎に解答を与えなくてはならないし、既成概念をなにか覆さなければならない。
まあそれもうまく書けてて、結構すっきりした感を味わえました。