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2009(Sun) 23:01
かけら 青山七恵
![]() | かけら (2009/10/01) 青山 七恵 商品詳細を見る |
優れた短編小説に与えられるという川端康成文学賞受賞作「かけら」を含む短編集。
家族5人で出かけるはずだった日帰りバス旅行が、ひょんなことから父と娘の二人旅行になってしまう。
特に仲が悪いわけでもないが、これといった存在感のない父と過ごす時間の居心地の悪さ。家族としての父と人間としての父を観察して、どちらも父のかけらみたいなものなんだろうと気づく。(「かけら」)
結婚が決まり、同じマンションに住んでいる元カノのことばかり思い出すようになった「僕」
それは、引っ越しの準備をするのと同じように、元カノの思い出を忘れるために一通り思い出している作業なのか。(「欅の部屋」)
西表島から大学見学のためにやってきて、滞在することになった歳の離れた従姉妹の扱いに戸惑う新婚夫婦。
何を考えているのか分からない従姉妹を、可愛いと思ったり、不愉快に思ったり。(「山猫」)
いつも思うのですが、こういう純文学っぽいのって、特に短編はどういう顔をして読めばいいのか解りません・笑
小説や物語として読むと「ふーん……」で終わってしまいます。
もちろん全部テキストとして読めば、いろいろ発見というか、こういう議論がなされるだろうな、という予想はできますが。
手を変え品を変え、男女の関係に家族の在り方、現実への不安やどうしようもない虚無感、救いを日常に求めるか嗜好に求めるか、というようなことを書きつづける文学も。
新しいキャラとシチュエーションでいかに萌えつづけるか、というジャンルも。構図はよく似た色をしたなんとかみたいです。
「かけら」は、父親の存在感の薄さが羨ましかったです。ですが、それもまた彼の一部にすぎない。観察されていないところで、この父親がどんな人なのかは分からないので、なんとも言えませんね。
兄と取っ組み合いの喧嘩をした父と、転んだお婆さんを親切に助ける父。
当然、家族を助けている状況もあったはずなのに、娘の記憶には出てこない。他人を助け、おばさん達にいいように使われているにしても、他人の役に立っている父を見て、娘は喜ぶよりむしろいらついています。
これは「山猫」で、デートの最中なのに外国人の道案内をしてあげた彼氏に怒る彼女、の姿とも似ているような気がします。
他人なんてどうでもいいじゃないか、という正直な思想の中の「他人」が、自分以外ではなくて家族以外という辺りに、ほのぼのとすればいいのかヒヤッとすればいいのか迷うところ。
そう思うと、兄嫁の不在、というのもなんだか意味深です。個人主義から家族主義に、と単純に言っちゃっていいのかもよくわからないし。
「欅の部屋」も、単に男が今の婚約者と別れた元カノを比べて、ここが違うとかここが似てるとかいう感傷的な話なのですが、新しい家族を作るに当たって、必要なモノ不必要なモノをより分ける作業をしている、と捕らえるならば、その達観は恐ろしいくらいです。
「山猫」で心を開こうとしない従姉妹に、我が家のルールを教え込もうとしたり、従姉妹を受け入れたことを示すために我が家のルールの方を変更したり。
現代の家族になるためのルール、あるいは家族という範囲、について、淡々と書いた小説である! という、こういう感想でいいんでしょうかねぇ。
読書会とかで、あーでもないこーでもないと言い合うのには面白い本だと思います。




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